スポンサード リンク

2009/02/26

官能検査の方法と基準

官能検査は、視覚・聴覚・味覚・嗅覚・触覚という人間の5つの感覚を用いて、さまざまな特性を一定の手法に基づいて評価したり測定したりする検査方法です。官能検査の種類には、分析型官能検査と嗜好型官能検査があります。

分析型官能検査とは、チョコレートの甘みの強さやコーヒーの香りの強さなど、人間の感覚をもとに試料の性質を調べる方法です。一方、嗜好型官能検査は、チョコレートのおいしさや、コーヒーのコクなどを、試料に対する人間の感覚や感情に尺度をつけて調べる方法です。「旨み」や「コク」は、いろいろな要素が集まって感じる感覚なので、分析機器では測ることができません。

官能検査の問題点としては、再現性・一般性がない点があげられるでしょう。
ある人がおいしいと感じた食品を、他の人もおいしいと感じるとは限りません。同じ人でも、体調や雰囲気、時間帯などによって感じ方が変わることがあります。そのため、良いデータを得るためには実験回数を増やして統計処理を行う必要があります。

統計を解析するためには、まず、官能検査を実施して、その結果を単純集計などによって記録します。そして、「両者には差がない」という仮説をたて、これが起こりうる確率を計算してその仮説が正しいかどうかを判定します。この仮説を「帰無仮説」といい、この判定方法を「検定」と呼んでいます。「検定」には、片側検定と両側検定の2種類があり、客観的な順位がある場合には両側検定を、順位がない場合には片側検定を用います。実験の場合は両側検定を用いるのが一般的です。

2009/02/24

官能検査の順位法による解析

官能検査に用いる順位法とは、ランキングテストとも呼ばれ、例えば食品の場合では、その食品の外観・色・味・香り・好みなどに対してパネラー(パネル・被験者)に順位をつけさせて判定する方法のことを指します。多くの試料に対して一度に優劣を決めたい場合に、順位法は用いられます。順位法による官能検査を実施する際は、数字などの順位を回答させないよう注意書きを調査票に記しておくことが必要です。

官能検査の順位法の解析には、「スピアマンの順位相関係数」、「ケンダールの一致性の係数」、「クレーマーの検定」の3つが用いられます。

「スピアマンの順位相関係数」とは、数種類の試料につけられた2組の順位に一致性があるかどうかを調べるときや、客観的な順位が判明している場合に各パネラーのつけた順位の整合性を検討する場合に用いられます。

「ケンダールの一致性の係数」は、数種類の試料に対して数人のパネラーが順位をつけた場合、その評価に一致性があるかどうかを検定する方法です。もし、一致性が高い場合はその順位の傾向から考察することが可能です。

「クレーマーの検定」とは、数種類の試料に対して数人のパネラーが順位をつけた場合に、その試料の間に有意な差があるかどうかを検定する方法です。

いずれの場合も、まず、試料の全体をみて違いがないかどうかを確かめてから個々の試料の違いを検討するようにします。現在、官能検査の順位法における3つの方法に対応したSPSSなどの統計専用ソフトも発売されています。

2009/02/21

食品官能検査の検査項目・パネルの選出・統計データ

食品官能検査は、食品の見た目(外観)、品質、保存安全性、風味や嗜好の適・不適などの検査項目を、人間の5感(見る・触る・味わう・匂いをかぐ聴く)によって判定する方法です。

食品官能検査を実施する際には、一つの検査に対して20人以上の被験者(パネル)が集められるのが一般的です。新製品の開発の際にはもっと大規模に行われることもあります。

官能検査の準備は、測定条件を明確かつ適切にコントロールすることから始めます。試食の際の温度や容器の形、試料の形などはそろえておきます。揚げ物やアイスクリームのように食べる時期が限定されるものの官能検査は比較的難しいといえます。被験者のやる気を失わせないため、大量の試料の検査や質問内容にならないように考慮します。

検査時間は長くても10分程度が望ましいでしょう。検査室の室温は20度前後に調節し、室内の色や照明が味覚に影響しないように配慮することも大切です。意見交換が必要な場合は円卓を囲んで討論する円卓法が用いられることがありますが、普通は相談することがないようブースになっている側室法が用いられます。試食の際の容器の位置や試食の順番も味覚に影響することがあるので、被験者によって容器を並べる位置や試食の順番を変えることも大切です。

統計データのばらつきを少なくするためには、被験者の選出方法も重要な課題になります。年齢や性別によって味覚はことなるので、できるだけそろえるようにした方が望ましいでしょう。

2009/02/14

官能検査セミナー情報

◎日刊工業新聞社
http://www.nikkan.co.jp/edu/semi/080389.html
「外観品質の確保と外観検査の上手なすすめ方」

■日時:2009年3月12日(木) 10:00~17:00
■会場: 日刊工業新聞社セミナー会場
■聴講料: 42,000円 (テキスト代・昼食代含む、消費税込み)
製造業で問題となる外見品質特性について、検査業務の正しい進め方と、官能検査・外観検査の精度を向上させるためのセミナーです。豊富な事例を扱い、経験を元にわかりやすく説明します。パネルの適正価格や外観品質基準の設定方法も扱います。講師はエスケイジーマネジメントの代表取締役で、技術士・中小企業診断士でもある坂田愼一 氏です。



◎財団法人おいしさの科学研究所
http://www.oishisa-no-kagaku.com/public/event.htm
「おいしさマスター中級講座」

■日時 :2009年3月4日(水)11日(水)18日(水)13:00~17:00
■会場: Studio +G Ginza(東京・銀座)
■受講料 :一般63,000円(受講料60,000円、消費税3,000円)
「おいしさマスター中級講座」は、おいしさについて科学的、文化的な知識を身につけ、食・料理関連のアドバイザーや指導者として活躍したい方のためのセミナーです。最終日の18日には「おいしさって計れるの?」という演題で香川大学教授から官能検査についてのお話があります。



◎「おいしさマスター制度認定セミナー」

■日時: 2009年4月21日(火)13:00~17:00/22日(水)10:00~17:00
■会場: Studio +G Ginza(東京・銀座)
■受講料: 一般69,300円(受講料66,000円、消費税3,300円)
「おいしさマスター制度認定セミナー」は、おいしさを感じる味覚メカニズムとその評価や測定法が学べるセミナーです。官能検査についても触れます。

プロフィール

実用的な科学情報の収集・分析をおこなっています。